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ものみな成長過程は美しい
タイトルは、「白いオホーツクからの伝言 流氷」からもらいました。
菊池慶一先生の著書です。

JR北海道車内誌の特集に流氷のメカニズムが書かれてあったので一部紹介します。
はなはだ勝手ながら、わたしなりに、読みやすいように編集させていただきました。


冬のオホーツク海にはシベリアから猛烈な寒風が吹きつける。
寒風で冷やされた表面の海水は重たくなる。
重たくなった海水は、沈み込んで対流を起こし、次第に深くまで冷やされていく。

しかし、オホーツクの海は対流によって海水が凍るマイナス1.7度まで冷やしきれるほど浅くはない。
ところが、この海は、塩分濃度の違いにより水深50メートルを境に二層に分かれている。

二層が混ざりあうことはない。
そのため、あたかも水深50メートルの浅い海として凍ってしまう。

この層をつくっているのが、シベリアの大河、アムール川である。
北海道から九州までの距離の2倍もの流路を持つアムール川。
オホーツク海に大量の真水を注ぎ、上層に塩分の薄い海水の層をつくる。

さらに、カムチャッカ半島や千島列島、北海道に囲まれた閉じた海である。
日本海や太平洋の水が入りにくいことも2重構造を堅固なものにした。

その事実に直面できるのが、オホーツク海沿岸なのである。


流氷はしょっぱくない。
それは海水が凍る時には、濃い塩水(ブライン)を排出する性質があるからだ。
ブラインは重たいから、海中深く沈んでいく。

すると、入れ換わりに深層の海水がわき上がる。
これを湧昇流(ゆうしょうりゅう)という。
湧昇流は海底に沈んでいた栄養分も一緒に運び上げてくれるので、植物プランクトンの大発生を促す。

流氷の下底が茶色っぽくなっていることがあるが、
これはアイス・アルジー(藻類)とよばれる植物プランクトンの一種である。

アイス・アルジーはブラインの栄養分を糧に、光合成で成長する。
流氷に育まれた植物プランクトンを動物プランクトンが食べる。
動物プランクトンを小さな魚がたべ、
小さな魚を大きな魚が食べる。

つまるところ、流氷は、オホーツク海の豊かさを支える母となっていたのである。
凍る海は、雄大にして傷つきやすい自然が精一杯の力で届けてくれる、かけがえのない贈り物なのだ。


「やがて、氷板になり氷塊になっていく過程の氷がとりわけ美しい。」
「ものみな成長過程の一時期が美しい。」



16名の子どもたちと雄武町から眺める真っ白な流氷。
悠々とした流氷を背景に、さらさらの雪と戯れる子供たち。

最高のロケーションなのです。
虚構も装飾もない、演出もいらない。ありのまま姿。

自然にただただ支えられているのだなと実感できるところ。
それが、雄武町なのであります。

本物が私どもを暖かくしっかりと迎えてくれる。
それが、雄武町なのであります。

成長過程の16名の児童たちは、
きっと大切ななにかを見つけたことでしょう。
by yskkyhh3 | 2007-02-15 06:01
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