「人生のうち何度かは分水線に立つ時が来る。」
先生はそう言われて、眉を動かしニコリと微笑まれた。
日本海側か。太平洋側か。
右に流れるか。左に流れるか。
黒髪登山前のご挨拶で分水界、分水嶺のお話の〆の部分である。
黒髪山と人生とを巧みに織りまぜながら、
子ども達とその向こうに居る保護者にむけて、
静かに語られるわんぱくスクールの校長先生。
わたしは思った。
右に行く水も左に行く水も
またいつかはきっとひとつに解け合う。
先生はこのことをおっしゃりたかったのかもしれない。
分水嶺のこと。いいお話である。