世界最高のステイタスを誇る車は英国のレンジローバー。
なかでも'94前期クラシックは最後にして最高の自動車。
と、ちょっと興奮しながらも、勝手ながらにひとり想っている。
あわせて
すてき武雄での田舎暮らしにぴったりなのもこれだと直感する。
'94当時から数えても、車づくり24年もの歴史を物語る。
そのとおり、レンジローバーの正式デビューは1970年。
マーガレット王女の結婚式に参列されるエリザベス女王。
そのときのお車、それこそがレンジローバーだったのだ。
ロールスロイスでもダイムラーでもなくレンジローバー。
ルーブル美術館に「現代彫刻の傑作」として展示されているのも納得。
工業製品が「現代彫刻」として展示されているのであるからすごい!
かの豊田章一郎氏をして、「一度は乗ってみたい車」と言わしめた車。
そして、そのモデル「最後の」年が'94なのである。
そう確信してしまった本日なのです。
長くなりますがその件をすこしだけ。
さて、
何故に「最後の」というか。
皆さんの中にはお気づきの方もいらっしゃるはず。
そうこの年、信じられないような暴挙に出たのは、ローバージャパン。
車体価格895万円のクラシックのインテリアが少しリファインされて、
300万円も値下げされたこと。これを暴挙といわずしてなんと言おう。
ここが、レンジローバー・クラシック型式E-LH36Dの運命の分岐点。
新型は外形こそこれまで通りだが、300万円値下げして、
エアバックの採用といったような安全装備を手に入れた。
それと引き換えに失ったのが、インパネ、ダッシュボード辺りのデザイン。
1970年の当初から受け継いできた水平ラインを基調とした美しいデザインをである。
完璧なまでに繊細な線と悠々とした雰囲気を保っている旧型のデザインは見事に美しい。
新型のそれは歴代レンジの車内デザインを全否定するかのようにがらりと大きく変った。
旧型と新型のデザインセンスの乖離たるや、情けなくも嘆かわしく憂うべきところかも。
しかし、嘆いてばかりもいられない。一説にはHONDAとの技術提携によりインパネ周り
のパーツ関係の共有でデザインもそちらからとなれば、コストダウンのためにあらたに
デザインをおこすことなくやむを得なかった選択なのだろうという見方があるようだ。
895万円を投じて購入した旧型ユーザーは、
「現代彫刻」の意匠を300万で買ったと思うことで心休まるしかない。
一方、595万円で購入できると心浮き立って購入なさった新型のユーザーは
それはそれで楽しいレンジローバークラシック生活を送られてこられたことだろう。
そういう運命を背負った「最後の」レンジローバー・クラシック '94前期型 E-LH36D
1994年前期型を「最後の」レンジローバー・クラシック旧型と呼び、
1994年後期に300万円値下げしたモデルを、新型と呼んで区別する。
本日、ついに出会ってしまった。
そう、「最後の」レンジローバーにである。
今ご覧の一連のお写真はその颯爽たる勇姿であり、繊細で美しい線の一部である。
これを運命の出会いといわずになにを言おうか。
嗚呼、秋の夜は長くて・・・。
参照:Car Ex AUG. 1994 Vol.22 p90 岡崎五朗氏の文より