オーストラリアの主たる輸出産業「留学生教育」に欠陥か。
2009年8月、連邦政府のジュリア・ギラード教育相が、
ブルース・ベアード元自由党議員に、
年商155億ドルの海外留学生教育産業の調査を依頼した。
オーストラリア輸出産業の「稼ぎ頭」第3位につけている留学生教育も、
メルボルンとシドニーでの海外留学生特にインド人留学生に対する
暴行襲撃事件の多発をきっかけに、
留学生を食い物にする一部の海外留学生教育機関や、
永住権取得を餌に無法な料金を請求する悪徳斡旋業者など、
かねてから指摘されていた問題が一挙に噴き出し、
オーストラリアの同産業の評判が危機にさらされている。
9月23日、ベアード氏は、
「Education Services for Overseas Students (ESOS) Act 2000(2000年の
海外留学生教育サービス(ESOS)法」の実効性報告書を提出した。
同報告書は、教育水準、海外留学生の国内体験に影響するいくつかの要因を特定し、
留学生の利益保護に消費者保護のメカニズムを適用することに問題ありとしている。
また、入学資格となる英語力基準が低すぎるのではないか、
また、留学生向け教育機関登録手続きに欠陥があるなどの問題点を指摘している。
全国学生組合のデビッド・バロウ会長は、
「明らかにESOS法は欠陥法だ。同法は、海外留学生を保護するには有名無実化している」
と語っている。
また、ベアード氏も、報告書内容について各利害関係者から意見を求めるべきだとしている。
さらに、留学生円卓会議の勧告案も参考にすることになるとしており、
31人の学生で構成される会議では、留学中の労働時間増加、交通機関割引、
教育産業の規制強化などを求めている。
意見書提出は2009年10月30日締め切りで、
2010年の早いうちに結果が発表される予定。
AAP