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▼「突っ張り」達に直接かかわっていく 数学のチームティーチング 石丸三郎先生著 編集K&KMORI
 3年生の数学の授業には、できるだけ出向いて、突っ張り達の勉強を見てやりました。教えたりぬ子は昼休みに校長室に呼びました。
 一番最初に出かけた「3年8組」では、授業中に、突っ張り4人が机の上に足を上げていました。突然校長が入ってきたので、ガタ・ガタ・ガタンと足をおろしたのです。ボスと見られる子の側に行き「教科書ぐらい出すのが礼儀だよ」というと「ハイ、忘れてきました」といいました。はじめから手ぶらできているのです。
 遅刻して登校し、買ってきたパンとジュースを朝自習時間に飲み食いし、食べがら包装紙を机の横に捨てていました。私がゴミを拾い片付けるのをだまって見ているのです。
 数学の先生方も校長が教室に来て大変だろうとは思いました。
 しかし、私がいると授業妨害だけはしないからなどと自分本位に考えていました。中には実際「校長先生にきていただくと安心して授業ができる」という方もいらっしゃいました。
 夏休み前のある日、3年生担当の先生方が、校長室で「夏休み対策」の話し合いをもたれました。その頃、私は突っ張り達の夏休み中の勉強会の資料づくりに専念していました。突っ張りのほとんどが、小学校4年の小数と5年1学期の分数につまずいていました。1/2+1/3=2/5とするのです。
 これでは中学3年の数学の「二次方程式」・「因数分解」などわかるはずがありません。数学の授業は辛かったろう。固いイスを温めるだけの時間は長かったろうと同情しました。
 従って「教材づくり」は細心の注意を払いました。小学校4年生から中学校3年1学期迄、53段階のスモール・ステップの問題です。
 ガリ版用の原紙を53枚きり、80枚ずつ刷って貰いました。
 あまりにも量が多いので私が恐縮すると女性の「用務員」さんが、いわれました。「校長先生。学校をよくなすためのお手伝いができてうれしいんですよ」と。私は感激いたしました。この方とは今でも年賀状をやり取りしています。
 その教材の山を見て先生方は驚かれました。
 「突っ張り達の勉強会を夏休みに18日間したいと思います。自分のクラスの突っ張り達に明日の昼休みに、校長室に申し込みに行けといってください。」と頼みました。先生方は口を揃えて「あの子たちが来るわけがありません」といわれました。先生方は校長の私が突っ張り達の勉強を見てやっていることを知らずにおられたようでした。
 翌日の昼休み、きました。きました。きてくれました。16人です。突っ張り達が次ぎ次ぎ職員室を通って校長室に入っていくので先生方は驚いていました。
 実は、この子たちに、昼休みに校長室に勉強にくる時は職員室を通ってきなさいといっていたのです。それ迄は校長室は生徒を叱る場所になっていたのです。生徒が校長室に入っている姿を見た人が、またあれは悪いことをして校長室に呼ばれていると見るからです。
 こなかった4人には手紙を出しました。すぐ答えてくれました。担任の先生が言い忘れておられたようでした。
 手紙には夏休みの行事一覧表に勉強会のできる日に丸をつけて添えました。
 勉強会は午前中に来る人は10時から12時までの間に、午後から来る人は15時から17時までの間にきなさい。第3理科室が風通しがよいから、そこで待っています。校長が指導するから、みんな10時に来いじゃありません。突っ張り達は夜ふかしです。これくらいのゆとりと幅がなければ彼等の心はつかめません。
 12時近くに来た子は1時まで、5時に来た子は6時迄見てやるのです。遅れて来た子はより暖かく迎え、一層熱心に教えます。
 仲間もすむまでつき合ってくれます。
 先生方も一人、二人と応援の手をのばしていただきました。
by yskkyhh3 | 2004-11-02 16:23
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