シドニー便り 豪州の個人住宅・建築様式 個人住宅価格は日本の2倍から3倍よ。
シドニー在住の友人ソラヤマさんから、またまた長文のメールが届いた。
いつものように皆さんと共有するために読みながら編集しご紹介します。

読んでいただきたいのは、シドニーの労働力不足を

「シドニーに移住すればクオーターエイカー(300坪 1200坪の4分の1)の土地を提供します」というキャッチフレーズで多くの人々を豪州に誘い入れた。

というところあたりからでしょか。

移住促進に必要なのは「労働力不足」から。
働き口がなければだれもそこに住みません。

いまの、日本で
ローカルなリーダー達に必要な資質は「起業や雇用創出」のセンス。

この能力を備えているかいないかでその地域は大きく変わるでしょう。

そういう意味から、オーストラリア
とりわけシドニーに学ぶところはまだまだ多いわけなのです。

興味あるかたは、お読みください。


豪州に移住した直後、ヨーロッパに似た美しい街並み、緑豊かな街路地、紺碧の空、
なんと恵まれた環境かなと思いましたが・・・・

落ち着いて、近所の住宅街の建築様式をじっくり見ると・・・・ 
“これはダサい!” ・・・・というのが初めての印象でした。

反対語で若者は「ナウいわね」と云いますが・・・・
それとは ほど遠い外観設計です。

200年前、イギリスから入植した英国人達がレンガ造りの個人住宅を
シドニー郊外に本格的に建築したのは1880年以降からですが、
以来100年間殆ど類似の外観設計。

数十年前からモダンな設計が採用されるようになりましたが、
古い建築様式から抜け切れません。

この国の古い住宅は 耐震仕様の必要がないので、
英国風レンガ積みの平屋のフェデレーション様式が一般的です。

英国系オージーの人達はバンガロー風、
またはカントリーコテージ調の建物に好んで暮らしています。

「人口増にて、平屋ではもったいない」という声で
家を建て替える(日本で云うリフォーム・Renovation リノベーション)際に
2階建てを考えるようになりました。

1980年頃までは、土地が広い郊外住宅では2階建ての発想がなかったのです。

Federation Bungalow Style バンガロー風
Country cottage Style カントリ―コッテジ風

シドニーの住宅街の個人住宅の建物の殆どがこんな具合です。
“ロマンテックでない”・・・といえば言い過ぎですが建築美に乏しいようです。

ところが、お知り合いのお家を訪問した際に、玄関から内部に入ると
落ち着いたきれいな内装で一流ホテル並みの仕様、とても驚きました。

部屋の中はすっきりとセンスよく装飾されて、
ゴチャゴチャしたものも余りなく、シンプルにコーデネイトされていました。

ただ、悲しいかな、外観の設計がフランス、トイツに比べて劣るような気がします。

料理はイタリア系(ラテン)に遠く及ばず、
車などのデザイン力はドイツ系(ゲルマン)に劣ると云われていますがその通りかも? 

まずい食事でも、見かけの悪い家でもあまり気にしない
アングロサクソン系民族の特徴なのなのでしょうか?・・・

「質実剛健」という言葉はドイツ人の代名詞と思っていたのですが、
英国人の方がなんとなく ピッタリ当てはまりそうです。

シドニー中心地から車で5-6分、Paddington パデングトン という住宅
街の西洋長屋があります。 

アイアンレースと呼ばれる、
繊細なレース模様の鉄柵が小さな家々のテラスを飾っているのが この地区の特徴です。

敷地面積40坪前後なのになんと、なんと、1戸1.7ミリオン (1億5千万円) もする
バカ高いお家です。

この5軒の長屋を全部買ったら、7億円以上もするのです。恐ろしや・・・・

市心の特別地区を市役所(カウンシル)の特別采配により
クオーターエイカーの土地を細かく分譲した一等地です。駐車場なし。

ロンドンの横続きの英国式長屋住宅も通常6軒程度が1棟で繋がっているテラスハウ
スが多いのですが、シドニーも同じ雰囲気です。

但し、1970年以降に新築された長屋住宅は駐車場スペースを設計図に入れないとカウ
ンシル(市役所)から建築許可が下りないようになりました。

パリの路上駐車はひどい状況ですが、シドニー市街地の路上駐車も負けていません。
但し、100% 有料駐車(コインを入れる)です。

この地に昔から住んでいる住民には特別のステッカーが市当局から無料で配布されて
フロントガラス前に掲示しておくと「駐車違反」は免れます。

自分が好んで住んでいる街を悪く云うつもりはないのですが・・・・
シドニーの住宅事情はとても厳しいのが現状です。

早い話が、個人住宅の価格が日本の2倍から3倍するのです。

とくに1996年頃から毎年、どんどん住宅価格が上昇して、
急速な伸びは鈍化したものの未だに高止まりです。

上記の2軒のお家(Federation Bungalow Style、 Country cottage Style)とも、
シドニー北地区の住宅街では、1.5ミリオンはします。 

つまり1億3千万円もするのです。日本流にいえばハーフミリオンのお家です。
つまり4500万円程度のお家です。 

敷地は800m2(240坪)と広いのですが、
この国は土地の広さは余り問題ではありません。

立地、環境が優先します。

シドニーの一般家庭の平均年収は(夫婦共働き)併せて8万ドル(720万)位ですが、
もし、幸運にも80万ドル(7200万円)の家がローンを使って購入できたとして・・・

ざっと計算すると、頭金1割用意して残りローン組んだとして、
30年ローンで変動金利6%だとすると、毎月の返済が$4000ドル以上(36万円以上)。
これはきついですよね。

なぜかと云うと、
豪州では8万ドルの年収から税金(一番安い税率36%)を差引くと
手許に残るのは5.1万ドル(459万円)だけです。

家賃にほぼ全額とられます。

要するに親から引継いだ財産でもない限り、
普通のサラリーマン家庭では持家はとても難しいということなのです。

*1豪州ドル=¥90

不動産市場の高騰に伴い、ビルダー(建築業者)も困っています。 

豪州のビルダーはほとんどが個人営業で、
セキスイ、ミサワ、ダイワハウス、一条工務店などの
全国組織はありません。 

日本の住宅は規格化された便利な製品が豊富にあるので3か月程度で完成するのですが、
シドニーでは新築の場合、建築資材がオーダーメイドなので最低1年以上かかります。

数年前から省エネルギー住宅で知られる一条工務店、地元業者と合弁でセントラル駅
周辺の住宅開発プロジエクトを組んだセキスイハウスが進出してきましたが、日本式
の組織化された住宅建築工法は、住宅需要は大いに見込めるとはいえ、軌道に乗るま
でには、まだまだ時間がかかりそうです。

住宅用の土地が高い為、施主は建築資材を削ります。

例えば昔はダブルブリック(二重レンガ)が当たり前でしたが、
昨今はシングルブリックなので防音効果も耐熱効果も半減、
断熱材まで始末するありさまです。

ただ、最近は一流の設計士が移住するようになって、
新しいお家は素敵なデザイン、斬新なデザインも増えました。

今の建築業界を一言で云えば・・・
外見はカッコが良いのですが、防音効果、耐熱効果がわるい。

対して昔のお家は外見はカッコ悪いが防音、耐熱効果抜群と云えましょう。

そんな訳にて、最近グラニーフラットが脚光を浴びてきました・・・・・・

シドニー住宅・増築制限緩和について  グラニーフラット Granny Flats 

日本に比べれば比較的余裕の土地があった シドニー都市圏でも人口が急激に増加して、
20年前頃から住宅難が押し寄せています・・・・・・

1833年、イギリス本国が奴隷制度を廃止したことに伴い、全世界のイギリス系の植民
地の労働力が極端に不足する結果となりました。

その後、豪州は、1901年にイギリスから事実上の独立をして連邦自治領になりましたが、
シドニーの開拓時代には広大な土地がありながら労働力不足の時代が続きます。

仕方なく豪州政府は、
イギリス、デンマーク、オランダ、スコットランド、イタリア、ギリシアなどの
欧州各国の労働者層に宣伝を広げます・・

「シドニーに移住すればクオーターエイカー(300坪 1200坪の4分の1)の土地を提供します」というキャッチフレーズで多くの人々を豪州に誘い入れました。

実際、その宣伝には嘘偽りはなくて、シドニー郊外に確保された住宅の敷地は現在でも
平均800㎡ ( 240坪 ) 以上あります。

その土地政策は100年以上遵守されていたのですが、
只今シドニー都市圏の人口は475万人を超えて、もうすぐ500万人になりそうです。

現在の不動産市場では、シドニー市郊外の住宅地はどんなボロ家でもワンミリオン
(1億円)以上するバカ高い不動産の状況が続いています。

従って、サラリーマン若年新婚夫婦は40km以上郊外の住宅でないと住宅を手に入れる
ことは不可能な時代となりました。それでもハーフミリオン(5千万円)以上します。

この地域を管轄するNSWニューサウスウェイルズ州も住民からの苦情に耐え切れずに
いよいよ住宅建築の規制緩和に乗り出しました。

これまで、敷地450㎡ (136坪) 以上の家の2世帯住宅は認めてなかったのですが、
グラニーフラットであれば建築を許可することにしました。

グラニーフラットとは母屋に接する老人用住宅のことです。
新婚夫婦は母屋に暮らして、リタイヤーした老夫婦が別棟に暮らすという発想です。

増築するのは母屋に直接接続するか、または離れとして50㎡(15坪)~60㎡
(18坪)であればOKという新制度を採用することになりました。

18坪あれば、2ベットの住宅+リビングが可能です。

母屋が最大建築面積に達していない場合は、60m2以上可能なので、
70m2以上建築できる場合もあります。

環境保護地区またはヘリテッジハウス(建築後100年以上の遺産的なHeritage の建
物)に接燐している敷地の場合は、カウンシル(Council 市役所)の建築許可が遅れる
場合もあります。 

日本と異なり住宅を建築する場合は、日照権、プライバシー、窓の位置など、
向こう三軒両隣の100%同意が必要なのです。

息子夫婦がいない場合は他人にまた貸しすることもできます。

アパート仕様にすると
平均ですが・・・1週間に一人:$250ドル
2人:$270ドル 家賃収入が得られることになります。

立地条件がよければ(駅、バス停に近い、買い物に便利な閑静な住宅街)であれば
週$350‾450ドルの家賃収入が得られるので投資(Investment)として6~7年で
元が取れる勘定になります。

賃貸契約専門の業者さんの話では、50万ドル(4500万円)相当の家を
レンタルするとすれば、1週間の家賃 A$500 ドル(4.5万円)が相場となるそうです。

1か月に換算すると20万円前後の家賃を夫婦で払うことになります。
恐ろしく、バカ高いシドニーのアパート代(unit)です。

ワンミリオンの一軒家を賃借したら1週間にA$1,000 ドルが家賃の基準になるとか・・・・
こうなれば、もうサラリーマンが住める世界ではありません。

日本からの商社、証券会社、銀行駐在員家族の借家マンション相場は・・・・、
家賃が 週960ドル、月4200ドル 年間 50400ドル(543万円)。

会社負担なので、なんとか凌げますが、
個人負担であれば数年で破綻を来すことになります。

世間で云う破産の後 夜逃げです。

某大手証券会社駐在員家族のマンション( この地ではユニット Unit と呼びます)
家賃週2500ドル、年間A$137,000(1千200万円)、支店長が交代して
も1980年頃から30年以上も同レベルの家賃を支払っている日本の会社があるとのうわさ・・・・
証券会社はそれほど迄儲かる職種なのか? 不思議です。

シドニーに住むワーキングホリデーの若者は、1週間 $130ドル程度(相部屋・Flat
share)で借りているのと比較すると天と地の差があります。

グラニーフラットのモデルハウス 建築費用$150,000 (1350万円)

古くて大きな家を安値で買い、インテリアコーディネーターなどを雇って、
見違えるような住宅に変身させ、高値で売るという商法は一種の投資スタイルとして
人気があります。

多少リスクはありますが、銀行に預金するよりはるかに利潤を得られます。 

この種の商売専門のプロパティビジネスも盛んです。
デフレに悩む日本の不動産市場とは大きく異なります。

日本の人口はこれから緩やかに減少してゆく訳ですが、この地シドニーでは、毎年人
口は5%前後増加してゆきます。

当然住宅も慢性的に不足します。

百貨店、レストラン、食料品店、雑貨店でも、少しぐらいサービスが悪く
客足が逃げても、また自然増の新しい顧客がつかまります。

日本では、いくら顧客サービスを徹底しても、自然人口が減少すると、
売上額の対前年を維持することは非常に困難な状況となります。

シドニーの人口は18年後(2031年)迄に130万人増加し、
居住者数は600万人に達すると予想されています。

NSW州政府は、この増加ペースに対応するには、
少なくとも新たに60万戸の住宅を供給する必要があると試算しています。

人口増加による需要を満たすには、年3万戸のペースで新たな住宅を建設する
必要がありますが、シドニー中心部では供給できる土地がありません。

東は海、太平洋なので、西のブルーマウンテン方面の中核地、
パラマタ Parramatta周辺を第2のシドニー都(副都心)にする計画です。

この地域は土地が平坦で広大な敷地が確保できるからです。
しかも新空港候補予定地に近い利点があります。

現在でも、パラマタおよびブラックタウン Black Town周辺は
新築物件建築ラッシュが続き次第に人口が西へ西へと移動しています。

今後さらに住宅価格の急騰などあれば、
日本が1992年―1993年頃にバブル経済が弾けたようになる可能性が十分あります。

いや “確実にやってくる” という専門家もいます。
さもなくば、シドニー貧困地区から何れ暴動が起きるかも知れません。


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by yskkyhh3 | 2013-08-19 06:11
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